今回ご紹介するのは、少し変わり種の1954年製のライツ　エルマー9㎝であります。
1954年と言えば、Leitzにとってもカメラ界にとっても大変エポックな年で、
つまるところ、Leica M3の発売年であります。
カメラ本体は元より、レン製品群においてもライツ社は色々とM3に合わせた
ラインナップ編成を行いまして、このエルマー9㎝においても、沈胴式の
タイプや固定鏡胴式の混成ラインで戦略を練ったわけでアリマス。
この固定鏡胴のエルマー9㎝がちょっと厄介で、、従来バルナック時代からの
Ａ３６フィルター枠のモデルも併売されつつ、新デザインのＥ３９式が登場します。
きっと、Leitz社としてはM型ユーザーはE39、バルナックユーザーはA36で統一
したかったのかも知れません。
しかしながら、バルナック型を使いながらもLMリングでM型を使う・・って人には
何種類もフィルターを径ごとに揃えるのも面倒な話で・・・
　「E39でスクリューマウント式のレンズPlease！」
と、クレームがあったそうな。。
そこはそれ、声の大きなユーザーにお応えするライツ社ですから、特別に
L39 マウント仕立てのE39（あぁ、ややこしいｗ）Ｅｌｍａｒ9cmを2000弱造ったそうな。。
この習わしは、その後のトリプレットエルマーや初期のElmaritなんかにも極一部
見受けられます。（んな事やってるから、倒産しちゃうんのよ・・）

本レンズは外観に目立つキズ・アタリはありません。マウント付近のグッタペルカには
一部、摩滅か補修の跡がありますが、大きく欠けた部位はありません。
どうしても触ってしまう絞りリング部分のメッキは、他に比べややクスミ・小さな点浮きが
見られますが、全体を通してメッキは70年前のモノとしては、普通の状態でしょうか？
ヘリコイドはスムースで引っ掛かりなどは感じません。
手元のＭシリーズでの試写においても、距離計との連動も問題ありませんでした。
マウント部に打ちキズや摩耗もなく、アダプター類とのみ合わせも問題ありません。

光学系ですが、光源に透かすと細い拭き痕が浮かびますが、カビの発生やバル切れ
は無いようです。特に描写を左右するレベルの問題はないと思っております。
レンズのヘッド部分は写真にあります様、スムースに脱着できます。
ビゾに取り付けた試写も行っておりますが、こちらも全く問題ございません。
絞り羽の中心に向かって少し油滲みがありますものの、絞り羽根の動きは問題ありません。

勿論、現代のデジカメによるカラー撮影にも十分活躍出来ますが、コーティングのレベルは
少し逆光に弱いです。

ほんのりと柔らかな3群4枚エルマーならではの描写は、F4と言う値を享受できるなら、
ポートレートなどにも大変良い味を醸してくれますし、モノクロの場合は流石ライツ！的な
味わいを見せてくれます。
チョット珍しいこのエルマーレンズ、どうぞこの機会に！

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